ネットワークの仕組みとプロトコル|パケット交換・TCP/IPの4階層・通信速度の計算
スマートフォンでWebページを見るとき、データは世界中のネットワークを経由して届きます。この記事では、インターネットでデータが届く仕組みと、そのための約束ごと(プロトコル)を整理します。共通テストでは、仕組みを問う知識問題のほか、通信にかかる時間の計算も出ます。
LANとWAN、インターネット
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| LAN(構内ネットワーク) | 家庭・学校・会社など、限られた範囲のネットワーク | 家庭のWi-Fi、校内ネットワーク |
| WAN(広域ネットワーク) | 離れた場所のLANどうしを結ぶ、広い範囲のネットワーク | 通信事業者の回線 |
| インターネット | 世界中のネットワークを相互に接続した、ネットワークのネットワーク | — |
家庭のLANは、ISP(インターネットサービスプロバイダ)を通じてインターネットに接続しています。
回線交換とパケット交換
| 方式 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 回線交換 | 通信の間、相手との回線を占有する | 固定電話。通信中は安定しているが、回線を効率よく使えない |
| パケット交換 | データを小さな**パケット**に分けて送る | インターネット。1本の回線を多くの人で共有でき、効率がよい |
パケットには、データの一部のほかに、宛先や送信元のIPアドレス、何番目のパケットかなどの情報(ヘッダ)が付いています。パケットは別々の経路を通ることもあり、受信側でヘッダの番号をもとに元の順番に組み立て直します。一部のパケットが届かなければ、その部分だけを送り直せばよいのも利点です。
プロトコルとTCP/IP
**プロトコル**は、通信のための約束ごとです。インターネットでは、役割ごとに4つの階層に分けたプロトコル群 TCP/IP が使われています。
| 階層 | 役割 | 主なプロトコル |
|---|---|---|
| アプリケーション層 | アプリケーションごとのやり取りの決まり | HTTP・HTTPS(Web)、SMTP・POP・IMAP(メール)、DNS |
| トランスポート層 | データを確実に、または速く届ける | TCP、UDP |
| インターネット層 | IPアドレスをもとに、宛先まで届ける | IP |
| ネットワークインタフェース層 | 隣の機器まで、電気信号や電波で届ける | イーサネット、Wi-Fi |
階層に分けておくと、ある層の方式を変えても(例えば有線LANを無線LANに替えても)、ほかの層はそのまま使えます。
TCPとUDP
| TCP | UDP | |
|---|---|---|
| 特徴 | 届いたかを確認し、届かなければ送り直す。順番も整える | 確認をせず、そのまま送る |
| 長所 | 確実に届く | 速い、遅れが少ない |
| 向いているもの | Webページ、メール、ファイル | 動画のライブ配信、通話、オンラインゲーム |
通話やライブ配信では、少しデータが欠けるより、遅れる方が困るのでUDPが使われます。
ネットワークの機器
| 機器 | 働き |
|---|---|
| ルータ | 宛先のIPアドレスを見て、パケットを次にどのネットワークへ送るかを決めて転送する(ルーティング) |
| スイッチ(スイッチングハブ) | LANの中で、つながっている機器どうしの通信を中継する |
| 無線LANアクセスポイント | Wi-Fiの電波で、スマートフォンなどをLANにつなぐ |
Webとメールの仕組み
Web
ブラウザ(クライアント)がWebサーバにページを要求し、サーバがデータを返します。このやり取りの決まりが HTTP、通信を暗号化したものが HTTPS です。
URL https://www.example.co.jp/news/index.html は、次のように分けられます。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| https | 使うプロトコル |
| www.example.co.jp | Webサーバのドメイン名 |
| /news/index.html | サーバの中のファイルの場所(パス) |
メール
| プロトコル | 役割 |
|---|---|
| SMTP | メールを送信する。メールサーバどうしの転送にも使う |
| POP | メールをサーバから自分の端末にダウンロードして読む |
| IMAP | メールをサーバに置いたまま読む。複数の端末で同じメールを見られる |
送信側のメールサーバは、宛先のドメイン名からDNSで受信側のサーバを探してメールを転送し、受信側のサーバが宛先のユーザ名を確かめます。2026年の本試験 第1問 問4 では、宛先の書き間違いを、どちらのサーバが最初に検出するかが問われました(「IPアドレスとDNS」)。
クライアントサーバ方式とピアツーピア方式
| 方式 | 仕組み |
|---|---|
| クライアントサーバ方式 | サービスを提供するサーバに、利用者のクライアントが要求を送る(Web、メール) |
| ピアツーピア(P2P)方式 | サーバを介さず、端末どうしが対等に直接データをやり取りする |
通信速度と転送時間
通信速度は、1秒間に送れるビット数 bps(bits per second)で表します。1Mbps は1秒間に100万ビット(106ビット)です。
転送時間 = データ量(ビット) ÷ 通信速度(bps)
例: 200MBのファイルを、100Mbpsの回線で送る。伝送効率(実際に使える割合)は80%とする。
- データ量をビットにする:200MB × 8 = 1,600Mビット
- 実際の速度:100Mbps × 0.8 = 80Mbps
- 転送時間:1,600 ÷ 80 = 20秒
バイト(B)とビット(b)の変換(×8)を忘れないことが最大のポイントです。
誤りの検出:パリティビット
通信中に雑音などでビットが変わってしまうことがあります。これを見つける方法の一つがパリティビットです。
例(偶数パリティ): データの中の1の個数が偶数になるように、末尾に1ビットを付け加える。
- データ 1011001(1が4個)→ パリティは 0 → 送るのは 10110010
- データ 1011000(1が3個)→ パリティは 1 → 送るのは 10110001
受信側で1の個数が奇数になっていれば、どこかのビットが変わったと分かります。ただし、2ビット同時に変わると1の個数は偶数のままなので、検出できません。番号の入力ミスを見つけるチェックディジットと同じ考え方です。
共通テストでの出題
- 2025年の本試験 第1問 問1 b:IPv6が使われるようになった理由(インターネットに直接つながる機器の増加)。
- 2026年の本試験 第1問 問4:メールの配送と、IPアドレスを特定する仕組み(DNS)。
- 計算:データの転送時間、パケットの数、パリティビットの付け方。
よくある間違い
- ビットとバイトの混同:通信速度はビット、ファイルの大きさはバイトで表すことが多いので、8倍の変換が必要です。
- 「パケット交換は回線を占有する」:回線を占有するのは回線交換です。
- 「TCPの方が常に優れている」:遅れが困る用途ではUDPが適しています。
まとめ
- インターネットはパケット交換方式。データを小さなパケットに分け、ヘッダの情報で宛先に届ける
- TCP/IPは4階層。HTTPやSMTPはアプリケーション層、TCP・UDPはトランスポート層、IPはインターネット層
- ルータは宛先IPアドレスを見てパケットを転送する
- 転送時間 = データ量(ビット)÷ 通信速度。バイトは8倍してビットにする