2026年 共通テスト情報Ⅰ 第2問 解説|住民証明の情報システム改良・画像のビット演算による合成
正解と配点
| 設問 | 解答記号 | 正解 | 配点 |
|---|---|---|---|
| A 問1 | ア・イ | ②・④順序は問わない。両方正解で3点 | 3 |
| A 問2 | ウ・エ・オ | ④・⑧・①すべて正解で3点 | 3 |
| A 問2 | カ | ② | 2 |
| A 問3 | キ | ① | 2 |
| A 問3 | ク | ⑤ | 2 |
| A 問3 | ケ | ② | 3 |
| B 問1 | コ | ⑦ | 1 |
| B 問1 | サ | ③ | 1 |
| B 問2 | シ | ⓪ | 3 |
| B 問3 | ス | ② | 3 |
| B 問4 | セ・ソ | ③・⑤両方正解で2点 | 2 |
| B 問4 | タ | ⓪ | 3 |
| B 問4 | チ | ⓪ | 2 |
丸数字(②など)は選択肢の番号です。
第2問は、AとBの2つの中問からなる30点の大問です。Aは情報システムの図を読み取って改良の意味を考える問題、Bは画像のビット演算の問題でした。どちらも計算はほとんどなく、図の矢印や画像の白黒が何を表すかを正しく読み取れるかが勝負です。
A 住民証明を発行する情報システム
場面: A国では、役所が発行する住民証明に、氏名・生年月日・住所(まとめて住民情報)が載っています。就職先の企業などは、本人が申告した住民情報が正しいかを確かめるために、住民証明の提出を求めることがあります。
最初の情報システム(図1)では、請求者がコンビニなどの多機能プリンタで請求し、役所からデータを受け取って住民証明を紙に印刷し、それを提出先に持参・郵送します。
| 順序 | 図1:紙の住民証明 |
|---|---|
| 1 | 請求者 → 多機能プリンタ:請求操作 |
| 2 | 多機能プリンタ → 役所:データ要求 |
| 3 | 役所 → 多機能プリンタ:住民証明(電子データ) |
| 4 | 多機能プリンタ → 請求者:住民証明(紙媒体) |
| 5 | 請求者 → 提出先:住民証明(紙媒体)を持参・郵送 |
問1 個人のPCで請求できるようにした改良(ア・イ)
図2の情報システム: 請求者が自分のPCからインターネット経由で請求し(1請求操作、2データ要求)、役所から住民証明(電子データ)を受け取ります(3)。請求者がPCで送信操作をすると(4)、PCから提出先へ住民証明(電子データ)が送られます(5)。
問われたこと: 図1と比べた図2の特徴を2つ選ぶ。
正解:② 自宅や出先から住民証明(電子データ)を請求できる ④ 入手した住民証明(電子データ)をインターネット経由で送ることができる(順序は問わない)
- ②:PCとインターネットがあれば、コンビニに行かなくても請求できます。
- ④:図2では、住民証明を電子データのまま提出先に送れます(5)。
- ⓪「デジタルデバイドが解消され、誰でも簡単に請求できる」:PCやネットを使えない人にとっては、むしろ使いにくくなります。デジタルデバイド(情報格差)は解消されません。
- ①「コンビニを訪れる必要がある」:図1の特徴です。
- ③「請求者が操作しなくても提出先が入手できる」:図2では、請求者の送信操作(4)がないと提出先に届きません。
問2 アクセスコードを使う方式(ウ〜カ)
図2の問題点: 請求者が電子データを受け取るので、内容を勝手に書き換えてから提出するおそれがあります。
図3の情報システム: 役所は住民証明そのものではなく、請求ごとにアクセスコードを発行します。アクセスコードを役所に送ると、対応する住民証明(電子データ)を入手できます。図3では、1請求操作、2コード要求、3アクセスコード(役所→PC)、4送信操作までが示され、PC→提出先(オ)、提出先→役所(ウ)、役所→提出先(エ)の3本の矢印が空欄でした。
正解:ウ ④ 6アクセスコード エ ⑧ 7住民証明(電子データ) オ ① 5アクセスコード
アクセスコードの流れを順番に追うと、次のようになります。
| 順序 | 矢印 | 送るもの |
|---|---|---|
| 5 | PC → 提出先(オ) | アクセスコード |
| 6 | 提出先 → 役所(ウ) | アクセスコード |
| 7 | 役所 → 提出先(エ) | 住民証明(電子データ) |
請求者は住民証明の電子データを一度も手にしないので、書き換えることができません。
カ: 図2と異なる図3の特徴は何か。
正解:② 請求者が住民証明(電子データ)を送る必要がない
図3で請求者が送るのはアクセスコードだけで、住民証明は役所から提出先へ直接届きます。⓪「請求者が内容を見られる」・①「提出先が内容を見られる」は図2でも同じです。③「役所が住民証明を提供する必要がない」は誤りで、図3でも役所が提出先に住民証明を送っています。
問3 確認依頼コードを使う方式(キ〜ケ)
図3の問題点: アクセスコードが第三者に漏れると、そのコードを役所に送るだけで住民情報を入手でき、住民情報が流出するおそれがあります。
図4の情報システム: 住民情報は請求者自身が提出先に伝えられることを利用します。
| 順序 | 送るもの |
|---|---|
| 1 | 請求者 → 提出先:履歴書など(住民情報を含む)を持参・郵送・Webで提出 |
| 2〜4 | 請求者がPCで請求し、役所から確認依頼コードを受け取る |
| 5 | 請求者の送信操作で、PC → 提出先:確認依頼コード |
| (図では順序を隠してある) | 提出先 → 役所:確認依頼コードと住民情報 |
| (同上) | 役所 → 提出先:正しいかどうかの情報 |
キ・ク: 図1〜3では役所の役割は(キ)すること。図4では役割を(キ)することから(ク)することに変えている。
正解:キ ① 住民情報を提供 ク ⑤ 住民情報の正しさを証明
図1〜3の役所は、住民証明という形で住民情報そのものを渡していました。図4の役所は、提出先から送られてきた住民情報が登録内容と一致するかを答えるだけで、住民情報を外に出しません。役割が「提供」から「正しさの証明」に変わっています。
ケ: 図3のアクセスコードと異なり、図4の確認依頼コードはどうなっているか。
正解:② コードだけを送信しても住民情報を入手できない
確認依頼コードで役所から返ってくるのは「正しいかどうか」だけです。コードが漏れても、第三者は住民情報を入手できません。これが図3の問題点を解決した理由です。
- ①「コードだけを送信すれば住民情報を入手できる」:図3のアクセスコードの性質です。
- ⓪「コードのコピーを誰も作れない」:デジタルデータは簡単にコピーできます。
- ③・④「コードに住民情報が含まれる/含まれない」:アクセスコードにも住民情報は含まれていないので、2つのコードの違いになりません。
このように、必要以上の個人情報を渡さない仕組みにすることで、漏えいしたときの被害を小さくできます。
B 画像を合成するビット演算
場面: ゲーム画面は、背景の画像とキャラクターの画像を重ねて作ります。背景(図5Ⓐ:格子模様の上に「START GAME」)の上に、白い背景つきのキャラクター画像(図5Ⓑ)をそのまま重ねると、白い四角が残ってしまいます(図5Ⓒ)。白い部分を透過させるために、画素ごとのビット演算を使います。
ここでは1画素を4ビットで表す16階調のグレースケールで、黒は0000、白は1111です。
手順:
- キャラクターの部分を白、透過したい部分を黒にした画像(図6、いわゆるマスク)を作る
- 背景(図5Ⓐ)に図6を重ね、画素ごとにOR演算する → キャラクターの形だけ白く抜けた背景(図7)
- 図7にキャラクター画像(図5Ⓑ)を重ね、画素ごとに「ある演算」をする → キャラクターが背景の上に乗った画像(図8)
問1 ビットごとのOR演算(コ・サ)
正解:コ ⑦ 1111 サ ③ 0110
ORは「どちらかが1なら1」です。
| 1ビット目 | 2ビット目 | 3ビット目 | 4ビット目 | |
|---|---|---|---|---|
| 白 1111 | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 背景の点 1010 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| OR の結果(コ) | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 1ビット目 | 2ビット目 | 3ビット目 | 4ビット目 | |
|---|---|---|---|---|
| 黒 0000 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 背景の点 0110 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| OR の結果(サ) | 0 | 1 | 1 | 0 |
白(1111)とのORは必ず白、黒(0000)とのORは相手の値がそのまま残る、という性質がポイントです。だから図7は、マスクが白いキャラクターの部分だけ白になり、それ以外は背景がそのまま残ります。
問2 図7と図5Ⓑから図8を作る「ある演算」(シ)
正解:⓪ AND演算
ANDは「両方が1なら1」なので、白(1111)とのANDは相手の値がそのまま残り、黒(0000)とのANDは必ず黒になります。
| 場所 | 図7の値 | 図5Ⓑの値 | AND の結果 |
|---|---|---|---|
| キャラクターの部分 | 白 1111 | キャラクターの色 | キャラクターの色 |
| それ以外 | 背景の色 | 白 1111 | 背景の色 |
どちらの場所でも、片方が白なので、もう片方の色が残ります。ORでは白が残ってしまい、NOTを付けると色が反転してしまうので、ほかの選択肢は合いません。
問3 ヒストグラムで背景を選ぶ(ス)
場面: 図5Ⓑのように背景が白一色なら、白を指定するだけで背景を選べます。しかし、図9(白っぽいシワのある布の上に置いた、暗い色の熊のぬいぐるみの写真)は背景が一色ではありません。そこで、図9の各階調の画素数を表すヒストグラム(図11)を見て、背景だけを選ぶ階調の範囲を決めます。図9は1画素8ビットの256階調です。
ヒストグラムの形: 横軸は左が黒、右が白です。中くらいの暗さの部分になだらかな低い山があり、白に近い部分に高くとがった山がありました。選択肢は、⓪最も黒い端の部分、①なだらかな山の範囲、②白側のとがった山の範囲、③2つの山の間をまたぐ範囲、④なだらかな山から白い端までの広い範囲、の5つでした。
正解:② 白に近い側の高い山の範囲
写真の大部分を占めるのは白っぽい背景なので、白に近い高い山が背景の画素です。なだらかな低い山は、暗い色の熊の画素です。背景だけを選ぶには、白側の山だけを含む②を指定します。③や④は熊の画素も含んでしまいます。
問4 写真の熊だけを風景に合成する(セ〜チ)
場面: 雪山の風景画像(図12左)に、図9の熊の部分だけを切り抜いて重ねます。ここでは1画素8ビットで、黒は00000000、白は11111111です。
手順(図13):
- 風景画像と(セ)をAND演算 → 風景の中に熊の形が黒く抜けた画像
- (セ)をNOT演算して(ソ)を作る
- (ソ)と熊の写真(図9)を(タ)して(チ)を作る
- 1の画像と(チ)をOR演算 → 合成画像
選択肢(セ・ソ・チ): ⓪背景が黒で熊は写真のまま、①背景が白で熊は写真のまま、②熊が黒で背景は写真のまま、③背景が白・熊が黒、④熊が白で背景は写真のまま、⑤背景が黒・熊が白。
正解:セ ③ 背景:白・熊:黒 ソ ⑤ 背景:黒・熊:白 タ ⓪ AND演算 チ ⓪ 背景:黒(熊は写真のまま)
| 手順 | 演算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 風景 AND セ(背景白・熊黒) | 白の部分は風景が残り、黒の部分は黒になる → 熊の形が黒く抜けた風景 |
| 2 | NOT セ | 白黒が反転 → ソ(背景黒・熊白) |
| 3 | ソ AND 熊の写真 | 白の部分(熊)は写真が残り、黒の部分(背景)は黒になる → チ(背景黒・熊は写真のまま) |
| 4 | 1の結果 OR チ | 黒(0)とのORは相手が残る → 風景の上に熊が乗った合成画像 |
最後のORでは、1の画像の熊の部分が黒、チの背景の部分が黒です。黒とのORは相手の値がそのまま残るので、熊の部分には熊の写真、それ以外には風景が残ります。
第2問のまとめ
- 情報システムの図は、**矢印の順番と「何を送るか」**を表に書き出すと整理できます。
- 「住民情報を渡す」から「正しいかどうかだけを答える」への変更は、必要以上の個人情報を渡さない設計の考え方です。
- ビット演算は、白(すべて1)・黒(すべて0)とOR・ANDをするとどうなるかの4パターンを覚えておけば、画像の合成問題はすべて解けます。
| 演算 | 白(1…1)と | 黒(0…0)と |
|---|---|---|
| OR | 必ず白 | 相手がそのまま |
| AND | 相手がそのまま | 必ず黒 |