2026年 共通テスト情報Ⅰ 第1問 解説|記憶装置・可用性・クロスステッチの16進表現・スクロール距離・メール配送

公開 2026年11月8日

2026年(令和8年度)本試験「情報Ⅰ」第1問(20点)の解説です。問題冊子は大学入試センターの公式ページで公開されています。問題文を見なくても内容が分かるように、場面や条件を詳しく説明しています。

正解と配点

設問解答記号正解配点
問1 aア・イ⓪・③両方正解で2点2
問1 bウ③2
問2エ・オE・4両方正解で2点2
問2カ・キ・ク・ケ9・6・6・9すべて正解で4点4
問3コ⓪2
問3サ③2
問4 aシ⑤1
問4 aス②2
問4 aセ②2
問4 bソ⓪1

丸数字(②など)は選択肢の番号です。

第1問は、4つのテーマから短い問題を集めた小問集合です。前年と同じく、知識問題と「その場で手を動かす」問題が混ざっています。2026年は、16進法の変換を何段階も行う問題2とスクロール距離を考える問題3に時間がかかりやすく、ここで時間を使いすぎないことが大切でした。

設問 テーマ 分野
問1 a 主記憶装置と補助記憶装置の違い コンピュータの構成
問1 b 情報セキュリティに関する正しい記述 情報セキュリティ
問2 クロスステッチの図案を16進法で表し、変換して組み合わせる 情報のデジタル化
問3 生年・誕生月を入力するスクロール距離と初期値 情報デザイン・データの活用
問4 メールが届かないことを検出するサーバとDNS ネットワーク

問1 a 主記憶装置と補助記憶装置(ア・イ)

問われたこと: 「主記憶装置に比べて、補助記憶装置はデータを読み書きする速度が(ア)であり、(イ)のために用いられる」という文の空欄。アは「低速/同程度/高速」、イは「容量が小さい・大きい」と「短期的・長期的な保存」を組み合わせた4択でした。

正解:ア ⓪ 低速 イ ③ 容量が大きく、データの長期的な保存

主記憶装置(メモリ) 補助記憶装置(SSD・HDDなど)
読み書きの速さ 速い 遅い
容量 小さい 大きい
電源を切ると 内容が消える 内容が残る
用途 実行中のプログラムやデータを一時的に置く ファイルを長期的に保存する

CPUは主記憶装置とデータをやり取りしながら処理します。補助記憶装置は遅い代わりに大容量で、電源を切っても消えないので「長期的な保存」に使います。

問1 b 情報セキュリティに関する記述(ウ)

問われたこと: 次の5つのうち、最も適当なもの。

正解:③ バックアップで「可用性」を高められる

情報セキュリティの3要素(CIA)は、機密性(許可された人だけが見られる)、完全性(内容が正しく改ざんされていない)、可用性(必要なときに使える)です。機器の故障やランサムウェアでデータが使えなくなっても、バックアップがあれば復旧して使い続けられるので、可用性が高まります。

問2 クロスステッチの図案を16進法で表す(エ〜ケ)

場面: Mさんは家庭科の授業で、布の格子の1マスに糸を「×」の形に縫うクロスステッチの刺繍をします。4×4マスの図案で、縫うマスを1、縫わないマスを0とし、1行(4マス)を2進法4桁=16進法1桁で表します。4行分を続けて書くと、図案全体が16進法4桁になります。

例として示された図1の図案は、次のとおり「8C8F」でした。

行 マス(■=縫う) 2進法 16進法
1行目 ■□□□ 1000 8
2行目 ■■□□ 1100 C
3行目 ■□□□ 1000 8
4行目 ■■■■ 1111 F

エ・オ:図2の図案を16進法で表す

図2の図案: 1行目は左から3マス、2行目は左から2マス目だけ、3行目は左から3マス目だけ、4行目は右側の3マスを縫う図案でした。答えの形は「(エ)(オ)27」です。

正解:E427(エ E、オ 4)

行 マス 2進法 16進法
1行目 ■■■□ 1110 E
2行目 □■□□ 0100 4
3行目 □□■□ 0010 2
4行目 □■■■ 0111 7

2進法4桁の各桁は、左から8・4・2・1の重みです。1110は 8+4+2=14 なので、16進法では E になります(10〜15はA〜Fで表します)。詳しくは「2進数と16進数」で解説しています。

カ〜ケ:変換した図案を4枚並べたときの中央

3つの変換方法:

組み合わせ方(図3): 4×4の図案を4枚並べて8×8の図案を作ります。左上に元の図案、右上に変換A、左下に変換B、右下に変換Cを置き、その中央の4×4マス(3〜6行目・3〜6列目)を16進法で表します。元の図案は「35AD」です。

正解:9669(カ 9、キ 6、ク 6、ケ 9)

まず、4枚の図案をそれぞれ2進法で書きます。

行 元の図案(35AD) 変換A(左右反転) 変換B(上下反転) 変換C(180度回転)
1行目 0011 1100 1101 1011
2行目 0101 1010 1010 0101
3行目 1010 0101 0101 1010
4行目 1101 1011 0011 1100

中央の4×4マスは、各図案の「中央側の2×2マス」を集めたものです。

中央の行 左半分 右半分 2進法 16進法
1行目 元の3行目の右2マス「10」 変換Aの3行目の左2マス「01」 1001 9
2行目 元の4行目の右2マス「01」 変換Aの4行目の左2マス「10」 0110 6
3行目 変換Bの1行目の右2マス「01」 変換Cの1行目の左2マス「10」 0110 6
4行目 変換Bの2行目の右2マス「10」 変換Cの2行目の左2マス「01」 1001 9

変換A・B・Cが左右・上下の反転なので、8×8の図案は全体が上下左右に対称になります。中央の「9669」も、左右・上下に対称な形です。答えを出したあとに対称性で確かめると、ミスを防げます。

問3 スクロール距離と初期値(コ・サ)

場面: T社のスマートフォン用アプリで、新規登録の生年を、ホイールを回して年リストの中央に合わせる方法で入力します。初期値は2000年で、2008年生まれならスクロール距離は8、1997年生まれなら3です。つまり**スクロール距離=|生年−初期値|**です(リストは1900〜2100の範囲)。

コ:スクロール距離の平均が最も小さくなる初期値

資料: 直近1年間に登録したユーザの生年の分布(図5)は、1935〜2005年に広がる山型で、1967年に最も高い棒があり、1975年以降は少なくなっていました。初期値の候補(表1)は、中央値1961/最頻値1967/範囲の中央1970/最大値2005の4つです。

正解:⓪ 中央値

スクロール距離の平均は「各データと初期値の差の絶対値の平均」です。これを最も小さくするのは中央値です。

初期値を中央値から1年ずらすと、中央値より先にいる人の距離は1ずつ減り、反対側の人は1ずつ増えます。中央値ではちょうど半数ずつなので、どちらにずらしても増える人の方が多くなり、平均は大きくなります。なお、「差の2乗の平均」を最小にするのは平均値です。2つの違いを区別しておきましょう。詳しくは「代表値と散らばり」で解説しています。

サ:誕生月の初期値

条件: 誕生月も同じようにスクロールで入力します。月リストは一周すると元に戻り、12の下は1、1の上は12です。新規ユーザの誕生月に偏りがないとき、スクロール距離の平均は初期値によってどうなるか。

正解:③ どの月にしても変わらない

月リストは輪のようにつながっているので、どの月を初期値にしても、他の月までの距離は「0, 1, 1, 2, 2, 3, 3, 4, 4, 5, 5, 6」と同じになります(両方向にスクロールできるので、最大でも6)。誕生月に偏りがなければ平均は同じで、どの月にしても変わりません。年リストのように端がある場合とは違います。

問4 メールが届かない原因とDNS(シ〜ソ)

場面: カオルさん(kaoru@example.ac.jp)がシノブさん(shinobu@example.ed.jp)にメールを送ります。メールは、送信側メールサーバAを経由して、受信側メールサーバBに届きます。

シ・ス・セ:最初に検出するサーバとその理由

問われたこと: 宛先を次のように間違えたとき、メールが届けられないことを最初に検出するサーバと、その理由の組合せ。選択肢は「サーバA・B」と「送信側のドメイン名が存在しない/受信側のドメイン名が存在しない/ユーザ名が存在しない/受信側のドメイン名とユーザ名の両方が存在しない」を組み合わせた8つでした(⓪〜⑦)。

正解:シ ⑤(B・ユーザ名が存在しない) ス ②(A・受信側のドメイン名が存在しない) セ ②(A・受信側のドメイン名が存在しない)

メールアドレスは「ユーザ名@ドメイン名」の形です。送信側サーバAは、まず@の後ろのドメイン名から宛先のメールサーバを探します。ユーザ名を確かめるのは、メールを受け取った受信側サーバBです。

誤りの例 ユーザ名 ドメイン名 最初に検出するのは
あ sinobu@example.ed.jp sinobu(存在しない) example.ed.jp(正しい) ドメインは見つかるのでBまで届く。Bが「ユーザ名が存在しない」と検出
い example.ed.jp@sinobu example.ed.jp sinobu(存在しない) @の前後が逆。Aが宛先を探す段階で「受信側のドメイン名が存在しない」と検出
う sinobu@exmple.ed.jp sinobu(存在しない) exmple.ed.jp(存在しない) ユーザ名も誤りだが、先に調べるのはドメイン名。Aが「受信側のドメイン名が存在しない」と検出

「う」は両方とも間違っていますが、Aはドメイン名が見つからない時点で配送をやめるので、ユーザ名が存在しないことまでは分かりません。「両方が存在しない」を選ばないように注意しましょう。

ソ:通信先のIPアドレスを特定する仕組み

正解:⓪ DNS

DNSは、ドメイン名からIPアドレスを調べる仕組みです。サーバAは、DNSに問い合わせて example.ed.jp のメールサーバのIPアドレスを知り、そこへメールを送ります。ほかの選択肢は、WWW(Webページを見る仕組み)、パケット通信(データを小分けにして送る方式)、ルーティング(IPアドレスをもとに経路を選ぶこと)で、IPアドレスを特定する仕組みではありません。詳しくは「IPアドレスとDNS」と用語「DNS」で解説しています。

第1問のまとめ

参考資料

同じ分野のオリジナル問題で練習

問題を準備しています…