2026年 共通テスト情報Ⅰ 第1問 解説|記憶装置・可用性・クロスステッチの16進表現・スクロール距離・メール配送
正解と配点
| 設問 | 解答記号 | 正解 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 問1 a | ア・イ | ⓪・③両方正解で2点 | 2 |
| 問1 b | ウ | ③ | 2 |
| 問2 | エ・オ | E・4両方正解で2点 | 2 |
| 問2 | カ・キ・ク・ケ | 9・6・6・9すべて正解で4点 | 4 |
| 問3 | コ | ⓪ | 2 |
| 問3 | サ | ③ | 2 |
| 問4 a | シ | ⑤ | 1 |
| 問4 a | ス | ② | 2 |
| 問4 a | セ | ② | 2 |
| 問4 b | ソ | ⓪ | 1 |
丸数字(②など)は選択肢の番号です。
第1問は、4つのテーマから短い問題を集めた小問集合です。前年と同じく、知識問題と「その場で手を動かす」問題が混ざっています。2026年は、16進法の変換を何段階も行う問題2とスクロール距離を考える問題3に時間がかかりやすく、ここで時間を使いすぎないことが大切でした。
| 設問 | テーマ | 分野 |
|---|---|---|
| 問1 a | 主記憶装置と補助記憶装置の違い | コンピュータの構成 |
| 問1 b | 情報セキュリティに関する正しい記述 | 情報セキュリティ |
| 問2 | クロスステッチの図案を16進法で表し、変換して組み合わせる | 情報のデジタル化 |
| 問3 | 生年・誕生月を入力するスクロール距離と初期値 | 情報デザイン・データの活用 |
| 問4 | メールが届かないことを検出するサーバとDNS | ネットワーク |
問1 a 主記憶装置と補助記憶装置(ア・イ)
問われたこと: 「主記憶装置に比べて、補助記憶装置はデータを読み書きする速度が(ア)であり、(イ)のために用いられる」という文の空欄。アは「低速/同程度/高速」、イは「容量が小さい・大きい」と「短期的・長期的な保存」を組み合わせた4択でした。
正解:ア ⓪ 低速 イ ③ 容量が大きく、データの長期的な保存
| 主記憶装置(メモリ) | 補助記憶装置(SSD・HDDなど) | |
|---|---|---|
| 読み書きの速さ | 速い | 遅い |
| 容量 | 小さい | 大きい |
| 電源を切ると | 内容が消える | 内容が残る |
| 用途 | 実行中のプログラムやデータを一時的に置く | ファイルを長期的に保存する |
CPUは主記憶装置とデータをやり取りしながら処理します。補助記憶装置は遅い代わりに大容量で、電源を切っても消えないので「長期的な保存」に使います。
問1 b 情報セキュリティに関する記述(ウ)
問われたこと: 次の5つのうち、最も適当なもの。
- ⓪ 犯罪につながる情報が公開されているWebサイトに国内からアクセスすると、不正アクセス禁止法違反になる
- ① 通信速度を速くすると、マルウェアの被害を最小限にできる
- ② ソーシャルエンジニアリングの被害を防ぐには、メモリの増設が有効
- ③ データをバックアップしておくと、情報セキュリティの要素である「可用性」を高められる
- ④ ファイアウォールを使えば、無線LANの通信内容の盗聴を防げる
正解:③ バックアップで「可用性」を高められる
情報セキュリティの3要素(CIA)は、機密性(許可された人だけが見られる)、完全性(内容が正しく改ざんされていない)、可用性(必要なときに使える)です。機器の故障やランサムウェアでデータが使えなくなっても、バックアップがあれば復旧して使い続けられるので、可用性が高まります。
- ⓪:不正アクセス禁止法は、他人のIDやパスワードを無断で使うなど、アクセス制限を破る行為を罰する法律です。公開されているWebサイトを見るだけでは該当しません。
- ①・②:通信速度やメモリの量は、マルウェアやソーシャルエンジニアリング(人の心理のすきを突いてパスワードなどを聞き出す手口)の対策とは関係ありません。
- ④:ファイアウォールは、外部と内部のネットワークの間で不正な通信を遮断する仕組みです。無線LANの電波の盗聴を防ぐのは、WPA2・WPA3などの暗号化です。
問2 クロスステッチの図案を16進法で表す(エ〜ケ)
場面: Mさんは家庭科の授業で、布の格子の1マスに糸を「×」の形に縫うクロスステッチの刺繍をします。4×4マスの図案で、縫うマスを1、縫わないマスを0とし、1行(4マス)を2進法4桁=16進法1桁で表します。4行分を続けて書くと、図案全体が16進法4桁になります。
例として示された図1の図案は、次のとおり「8C8F」でした。
| 行 | マス(■=縫う) | 2進法 | 16進法 |
|---|---|---|---|
| 1行目 | ■□□□ | 1000 | 8 |
| 2行目 | ■■□□ | 1100 | C |
| 3行目 | ■□□□ | 1000 | 8 |
| 4行目 | ■■■■ | 1111 | F |
エ・オ:図2の図案を16進法で表す
図2の図案: 1行目は左から3マス、2行目は左から2マス目だけ、3行目は左から3マス目だけ、4行目は右側の3マスを縫う図案でした。答えの形は「(エ)(オ)27」です。
正解:E427(エ E、オ 4)
| 行 | マス | 2進法 | 16進法 |
|---|---|---|---|
| 1行目 | ■■■□ | 1110 | E |
| 2行目 | □■□□ | 0100 | 4 |
| 3行目 | □□■□ | 0010 | 2 |
| 4行目 | □■■■ | 0111 | 7 |
2進法4桁の各桁は、左から8・4・2・1の重みです。1110は 8+4+2=14 なので、16進法では E になります(10〜15はA〜Fで表します)。詳しくは「2進数と16進数」で解説しています。
カ〜ケ:変換した図案を4枚並べたときの中央
3つの変換方法:
- 変換A: 各行を2進法で表し、桁を逆順にする(左右反転)。例:1000 → 0001
- 変換B: 図案全体を16進法で表し、桁を逆順にする(行の順番が逆になるので上下反転)。例:8C8F → F8C8
- 変換C: 変換Aをしてから変換Bをする(左右反転+上下反転=180度回転)
組み合わせ方(図3): 4×4の図案を4枚並べて8×8の図案を作ります。左上に元の図案、右上に変換A、左下に変換B、右下に変換Cを置き、その中央の4×4マス(3〜6行目・3〜6列目)を16進法で表します。元の図案は「35AD」です。
正解:9669(カ 9、キ 6、ク 6、ケ 9)
まず、4枚の図案をそれぞれ2進法で書きます。
| 行 | 元の図案(35AD) | 変換A(左右反転) | 変換B(上下反転) | 変換C(180度回転) |
|---|---|---|---|---|
| 1行目 | 0011 | 1100 | 1101 | 1011 |
| 2行目 | 0101 | 1010 | 1010 | 0101 |
| 3行目 | 1010 | 0101 | 0101 | 1010 |
| 4行目 | 1101 | 1011 | 0011 | 1100 |
中央の4×4マスは、各図案の「中央側の2×2マス」を集めたものです。
| 中央の行 | 左半分 | 右半分 | 2進法 | 16進法 |
|---|---|---|---|---|
| 1行目 | 元の3行目の右2マス「10」 | 変換Aの3行目の左2マス「01」 | 1001 | 9 |
| 2行目 | 元の4行目の右2マス「01」 | 変換Aの4行目の左2マス「10」 | 0110 | 6 |
| 3行目 | 変換Bの1行目の右2マス「01」 | 変換Cの1行目の左2マス「10」 | 0110 | 6 |
| 4行目 | 変換Bの2行目の右2マス「10」 | 変換Cの2行目の左2マス「01」 | 1001 | 9 |
変換A・B・Cが左右・上下の反転なので、8×8の図案は全体が上下左右に対称になります。中央の「9669」も、左右・上下に対称な形です。答えを出したあとに対称性で確かめると、ミスを防げます。
問3 スクロール距離と初期値(コ・サ)
場面: T社のスマートフォン用アプリで、新規登録の生年を、ホイールを回して年リストの中央に合わせる方法で入力します。初期値は2000年で、2008年生まれならスクロール距離は8、1997年生まれなら3です。つまり**スクロール距離=|生年−初期値|**です(リストは1900〜2100の範囲)。
コ:スクロール距離の平均が最も小さくなる初期値
資料: 直近1年間に登録したユーザの生年の分布(図5)は、1935〜2005年に広がる山型で、1967年に最も高い棒があり、1975年以降は少なくなっていました。初期値の候補(表1)は、中央値1961/最頻値1967/範囲の中央1970/最大値2005の4つです。
正解:⓪ 中央値
スクロール距離の平均は「各データと初期値の差の絶対値の平均」です。これを最も小さくするのは中央値です。
初期値を中央値から1年ずらすと、中央値より先にいる人の距離は1ずつ減り、反対側の人は1ずつ増えます。中央値ではちょうど半数ずつなので、どちらにずらしても増える人の方が多くなり、平均は大きくなります。なお、「差の2乗の平均」を最小にするのは平均値です。2つの違いを区別しておきましょう。詳しくは「代表値と散らばり」で解説しています。
サ:誕生月の初期値
条件: 誕生月も同じようにスクロールで入力します。月リストは一周すると元に戻り、12の下は1、1の上は12です。新規ユーザの誕生月に偏りがないとき、スクロール距離の平均は初期値によってどうなるか。
正解:③ どの月にしても変わらない
月リストは輪のようにつながっているので、どの月を初期値にしても、他の月までの距離は「0, 1, 1, 2, 2, 3, 3, 4, 4, 5, 5, 6」と同じになります(両方向にスクロールできるので、最大でも6)。誕生月に偏りがなければ平均は同じで、どの月にしても変わりません。年リストのように端がある場合とは違います。
問4 メールが届かない原因とDNS(シ〜ソ)
場面: カオルさん(kaoru@example.ac.jp)がシノブさん(shinobu@example.ed.jp)にメールを送ります。メールは、送信側メールサーバAを経由して、受信側メールサーバBに届きます。
シ・ス・セ:最初に検出するサーバとその理由
問われたこと: 宛先を次のように間違えたとき、メールが届けられないことを最初に検出するサーバと、その理由の組合せ。選択肢は「サーバA・B」と「送信側のドメイン名が存在しない/受信側のドメイン名が存在しない/ユーザ名が存在しない/受信側のドメイン名とユーザ名の両方が存在しない」を組み合わせた8つでした(⓪〜⑦)。
正解:シ ⑤(B・ユーザ名が存在しない) ス ②(A・受信側のドメイン名が存在しない) セ ②(A・受信側のドメイン名が存在しない)
メールアドレスは「ユーザ名@ドメイン名」の形です。送信側サーバAは、まず@の後ろのドメイン名から宛先のメールサーバを探します。ユーザ名を確かめるのは、メールを受け取った受信側サーバBです。
| 誤りの例 | ユーザ名 | ドメイン名 | 最初に検出するのは |
|---|---|---|---|
| あ sinobu@example.ed.jp | sinobu(存在しない) | example.ed.jp(正しい) | ドメインは見つかるのでBまで届く。Bが「ユーザ名が存在しない」と検出 |
| い example.ed.jp@sinobu | example.ed.jp | sinobu(存在しない) | @の前後が逆。Aが宛先を探す段階で「受信側のドメイン名が存在しない」と検出 |
| う sinobu@exmple.ed.jp | sinobu(存在しない) | exmple.ed.jp(存在しない) | ユーザ名も誤りだが、先に調べるのはドメイン名。Aが「受信側のドメイン名が存在しない」と検出 |
「う」は両方とも間違っていますが、Aはドメイン名が見つからない時点で配送をやめるので、ユーザ名が存在しないことまでは分かりません。「両方が存在しない」を選ばないように注意しましょう。
ソ:通信先のIPアドレスを特定する仕組み
正解:⓪ DNS
DNSは、ドメイン名からIPアドレスを調べる仕組みです。サーバAは、DNSに問い合わせて example.ed.jp のメールサーバのIPアドレスを知り、そこへメールを送ります。ほかの選択肢は、WWW(Webページを見る仕組み)、パケット通信(データを小分けにして送る方式)、ルーティング(IPアドレスをもとに経路を選ぶこと)で、IPアドレスを特定する仕組みではありません。詳しくは「IPアドレスとDNS」と用語「DNS」で解説しています。
第1問のまとめ
- 記憶装置やセキュリティの知識問題は、用語の意味(可用性・不正アクセス・ファイアウォールの役割)を正確に覚えていれば確実に取れます。
- 16進法の変換は、1行=2進法4桁=16進法1桁の対応を表に書いて整理すると、間違えにくくなります。
- 「差の絶対値の平均を最小にするのは中央値」は、データの活用の分野でも使える知識です。
- メールの配送は、ドメイン名を先に調べる(DNS)→ユーザ名は受信側で調べるという順番が分かれば解けます。