代表値と散らばり|平均値・中央値・最頻値と箱ひげ図
共通テスト「情報Ⅰ」の第4問では、データを分析して読み取る問題が出ます。まずは、データの特徴を1つの数値で表す代表値と、データの散らばりの表し方を押さえましょう。2025年・2026年の本試験では、どちらも箱ひげ図から何が言えるかを判断する問題が出題されました。
代表値
データ 2, 3, 3, 5, 7 で考えます。
| 代表値 | 意味 | この例 |
|---|---|---|
| 平均値 | 合計 ÷ 個数 | (2+3+3+5+7) ÷ 5 = 4 |
| 中央値 | 小さい順に並べたときの真ん中の値 | 3番目の 3 |
| 最頻値 | 最も多く現れる値 | 2回現れる 3 |
データが偶数個のときの中央値は、真ん中の2つの値の平均です。例えば 1, 4, 6, 9 なら (4 + 6) ÷ 2 = 5 です。
どの代表値を使うか
平均値は、極端に大きい値(外れ値)があると大きく動きます。例えば、年収のように一部の人が非常に高い値をもつデータでは、平均値より中央値の方が「ふつうの人」の実感に近くなります。
| 代表値 | 向いている場面 |
|---|---|
| 平均値 | 分布が左右対称に近く、外れ値がないとき |
| 中央値 | 外れ値があるとき、分布が片側に偏っているとき |
| 最頻値 | 一番多いもの(売れ筋のサイズなど)を知りたいとき。質的データにも使える |
中央値は「差の合計」を最小にする
各データとある値 a との差の絶対値の合計は、a が中央値のとき最も小さくなります(差の2乗の合計を最も小さくするのは平均値)。2026年の本試験 第1問 問3 では、スクロールして生年を入力するとき、スクロール距離の平均を最も小さくする初期値として中央値が問われました。
四分位数と箱ひげ図
データを小さい順に並べて4等分する位置の値を四分位数といいます。
- 第1四分位数(Q1):下半分のデータの中央値
- 第2四分位数(Q2):全体の中央値
- 第3四分位数(Q3):上半分のデータの中央値
求め方の例
データ(9個):2, 4, 5, 7, 8, 10, 12, 13, 15
- 中央値 Q2 は5番目の 8
- 下半分 2, 4, 5, 7 の中央値 Q1 = (4 + 5) ÷ 2 = 4.5
- 上半分 10, 12, 13, 15 の中央値 Q3 = (12 + 13) ÷ 2 = 12.5
- 四分位範囲 = Q3 − Q1 = 12.5 − 4.5 = 8
データが奇数個のときは、中央値そのものを下半分・上半分のどちらにも含めずに分けるのが一般的です。
箱ひげ図
四分位数を図にしたものが箱ひげ図です。
- 箱の左端と右端:第1四分位数と第3四分位数
- 箱の中の線:中央値
- ひげの両端:最小値と最大値
箱の長さ(四分位範囲) には、データの真ん中の約半分が入っています。箱が長いほど、データが散らばっていることを表します。
箱ひげ図から言えること・言えないこと
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| 中央値以上のデータは半数以上ある | データの個数 |
| 第3四分位数より大きいデータは、全体の約4分の1 | 一つひとつのデータの値 |
| 最小値・最大値の範囲 | 「ちょうどある値のデータがあるか」 |
| 複数のグループの散らばりの違い | 平均値(書き加えられていない場合) |
2026年の本試験 第4問 問3 では、「開花差が15以上の観測点がG1では半数以上あるが、G2には1か所もない」ことを箱ひげ図から読み取る問題と、「開花差がちょうど0の観測点がどちらのグループにあるか」は、箱ひげ図だけでは分からず、散布図と組み合わせて判断する問題が出ました(「2026年 第4問 解説」)。2025年の本試験 第4問 問4 では、箱ひげ図と四分位数を使って、都道府県を「多め」かどうかで分類しました。
外れ値の目安
よく使われるのは、次の範囲から外れる値を外れ値とする方法です。
- Q1 − 1.5 × 四分位範囲 より小さい
- Q3 + 1.5 × 四分位範囲 より大きい
上の例では、4.5 − 12 = −7.5 より小さいか、12.5 + 12 = 24.5 より大きい値が外れ値です。箱ひげ図では、外れ値を点で示し、ひげをそれ以外の最小値・最大値までにすることがあります。
ヒストグラム
データを区間(階級)ごとに数えた度数分布表を棒グラフにしたものがヒストグラムです。分布の形が分かります。
| 分布の形 | 代表値の関係 |
|---|---|
| 左右対称の山型 | 平均値 ≒ 中央値 ≒ 最頻値 |
| 右に長く裾を引く(大きい値の方に少数のデータが散らばる) | 平均値が中央値より大きくなる |
| 山が2つある | 異なる性質のグループが混ざっている可能性がある |
2026年の本試験 第2問B では、画像の各階調の画素数を表すヒストグラムが使われ、山が2つあることから背景と熊の部分を見分ける問題が出ました。
分散と標準偏差
散らばりを数値で表すには、**分散と標準偏差**を使います。
- 各データと平均値の差(偏差)を求める
- 偏差を2乗して、その平均を求める → 分散
- 分散の正の平方根 → 標準偏差
例: データ 3, 5, 7, 9(平均値 6)
| データ | 偏差 | 偏差の2乗 |
|---|---|---|
| 3 | −3 | 9 |
| 5 | −1 | 1 |
| 7 | 1 | 1 |
| 9 | 3 | 9 |
分散 =(9 + 1 + 1 + 9)÷ 4 = 5、標準偏差 = √5 ≒ 2.24
標準偏差は元のデータと同じ単位になるので、「平均からどのくらい離れているか」を直感的に比べやすくなります。偏差をそのまま足すと必ず0になるので、2乗してから平均している点に注意しましょう。
よくある間違い
- 「平均値が一番正確な代表値」:外れ値があるときは、中央値の方が実態に近いことがあります。
- 「箱ひげ図の箱にはデータが半分ちょうど入っている」:約半分です。データの個数によってずれます。
- 「箱ひげ図からデータの個数が分かる」:箱ひげ図は5つの値しか示しません。
- 「箱が長い=データが多い」:箱の長さは散らばりの大きさで、個数とは関係ありません。
まとめ
- 代表値は平均値・中央値・最頻値。外れ値があるときは中央値が向いている
- 四分位数は、下半分・全体・上半分の中央値。四分位範囲 = Q3 − Q1
- 箱ひげ図から言えるのは、5つの値と「半数以上」「約4分の1」といった割合まで
- 分散は偏差の2乗の平均、標準偏差はその平方根