2025年 共通テスト情報Ⅰ 第4問 解説|旅行統計のデータ分析(尺度水準・帯グラフ・散布図・箱ひげ図)
正解と配点
| 設問 | 解答記号 | 正解 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 問1 | ア・イ | ③・⓪両方正解で3点 | 3 |
| 問1 | ウ・エ | ⓪・②順序は問わない | 各2 |
| 問2 | オ・カ | ①・③順序は問わない | 各2 |
| 問3 | キ | ⓪ | 2 |
| 問3 | ク | ③ | 3 |
| 問4 | ケ | 2 | 2 |
| 問4 | コ | ③ | 3 |
| 問4 | サ | ② | 2 |
| 問4 | シ | ④ | 2 |
丸数字(②など)は選択肢の番号です。
第4問は、表やグラフからデータを読み取るデータの活用の問題です。題材は、観光庁の「旅行・観光消費動向調査」(2019年)を使った旅行者数の分析でした。問題が進むごとに、使う道具が高度になっていきます。
| 設問 | 使う道具 | 読み取ること |
|---|---|---|
| 問1 | 尺度水準、棒グラフ、帯グラフ | 地方ごとの旅行者数と、目的の割合 |
| 問2 | 散布図、相関係数 | 目的別の旅行者数どうしの関係 |
| 問3 | 散布図、人口で割った指標 | 指標を変えると何が変わり、何が変わらないか |
| 問4 | 箱ひげ図、四分位数 | 「多め」の基準で都道府県を分類する |
旅行の目的は出張等・帰省等・観光等の3つに分けられています。旅行者数は延べ人数で、単位は千人です。
問1 尺度水準とグラフの読み取り(ア〜エ)
使われた表: 地方(北海道、東北、関東、…、沖縄の10地方)ごとに、目的別の旅行者数と合計をまとめた表です。一部の値は次のとおりでした。
| 番号 | 地方 | 出張等 | 帰省等 | 観光等 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 3,652 | 5,052 | 9,768 | 18,472 |
| 2 | 東北 | 6,161 | 9,410 | 12,365 | 27,936 |
| 3 | 関東 | 14,401 | 19,138 | 45,943 | 79,482 |
| 10 | 沖縄 | 662 | 1,127 | 5,446 | 7,235 |
ア・イ:尺度水準
会話の流れ: 先生に「地方はどの尺度水準か」と聞かれたUさんは、「郵便番号などと同じで(ア)」と答えます。番号と地方以外の項目(旅行者数)については「(イ)」と答えます。
正解:ア ③ 名義尺度/イ ⓪ 比例尺度
| 尺度水準 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 名義尺度 | 区別するためだけの値。大小や順序に意味がない | 地方名、郵便番号、性別 |
| 順序尺度 | 順序に意味があるが、差には意味がない | 順位、5段階評価 |
| 間隔尺度 | 差に意味があるが、0が「何もない」ではない | 気温(℃)、西暦 |
| 比例尺度 | 0が「何もない」を表し、比(何倍か)にも意味がある | 人数、金額、長さ |
旅行者数は0人が「旅行者がいない」ことを表し、「関東は北海道の約4倍」のように比べられるので比例尺度です。
ウ・エ:棒グラフと帯グラフから読み取れること
図の状況: 表のデータから2つのグラフが作られました。(a) は地方ごとに出張等・帰省等・観光等の人数を並べた棒グラフ、(b) は各地方の合計を100%として目的の内訳を示した帯グラフです。棒グラフでは関東の観光等が約46,000で飛び抜けて高く、帯グラフでは沖縄の観光等の割合が約75%で最も大きく見えます。
正解:⓪ 帰省等の旅行者数が最も多い地方は関東/② 合計に対する出張等の割合は、関東より東北の方が高い(順序は問わない)
- ⓪(正しい): 帰省等は関東が19,138千人で最も多い地方です。人数の比較は棒グラフで読みます。
- ②(正しい): 割合は帯グラフで読みます。表の値でも、東北は 6,161 ÷ 27,936 ≒ 22%、関東は 14,401 ÷ 79,482 ≒ 18% で、東北の方が高くなります。
- ①(誤り): 沖縄は観光等の割合が最も大きい地方ですが、人数が最も多いのは関東です。帯グラフの見た目にだまされないようにしましょう。
- ③(誤り): 帯グラフでは、観光等の割合は中部の方が近畿より大きくなっています。
人数(量)を比べるなら棒グラフ、割合(内訳)を比べるなら帯グラフという使い分けがポイントです。
問2 散布図と相関係数(オ・カ)
図の状況: 47都道府県ごとの目的別旅行者数から、3つの散布図が作られました。
| 散布図(縦軸 × 横軸) | 相関係数 |
|---|---|
| 出張等 × 帰省等 | 0.84 |
| 出張等 × 観光等 | 0.67 |
| 帰省等 × 観光等 | 0.79 |
どの図も、多くの点が左下に集まり、少数の都道府県が右上に離れています。どの図でも一番上の点は、出張等が約8,300千人で最も多い都道府県でした(出張等 × 帰省等の図では、帰省等も約6,100千人で最大の位置にあります)。
正解:① すべての都道府県で、出張等は帰省等の1.5倍を下回る/③ ある目的の旅行者数が多い都道府県ほど、他の目的の旅行者数も多くなる傾向にある(順序は問わない)
- ③(正しい): 3つの相関係数はどれも0.67〜0.84の正の相関です。片方が多いほど、もう片方も多い傾向があります。
- ①(正しい): 出張等 × 帰省等の散布図で、どの点も「出張等 = 帰省等 × 1.5」の直線より下にあります。例えば一番上の点は帰省等が約6,100なので、1.5倍は約9,150で、出張等の約8,300を上回ります。
- ⓪(誤り): 相関はあくまで「傾向」です。観光等が多くても帰省等が少ない都道府県はあり、「必ず」とは言えません。
- ②(誤り): 上で見たとおり、それぞれの散布図で最も上にある点は同じ都道府県を表しています。
- ④(誤り): 相関があっても、片方を増やせばもう片方も増えるという因果関係までは分かりません。
問3 指標を人口で割る(キ・ク)
場面: 出張等と観光等の散布図(図3)では、多くの都道府県が観光等3,000千人以下に集まっていて見にくくなっていました。そこでUさんは「人口が多い都道府県ほど旅行先になりやすいのでは」と考え、旅行者数を旅行先の都道府県の人口で割った指標「出張/人口」「観光/人口」を作り、散布図(図4)にしました。どちらの図にも、縦軸と横軸の値が等しい直線(y = x)が引かれています。
- 図3の直線の上側には白抜きの点が2つあり、図4の直線の上側にも白抜きの点が2つある
- 点Xと点Yは、どちらの図でも同じ都道府県を表している。図3ではXがYより右上(出張等も観光等も多い)、図4ではYがXより右上にあり、縦軸・横軸の両方で大小が逆転している
キ:白抜きの2点は同じ都道府県か
正解:⓪ 両方の図で同じ二つの都道府県を示している
直線 y = x の上側にある点は、「出張等 > 観光等」の都道府県です。図4では両方を同じ人口で割っているので、
出張等 > 観光等 ⇔ 出張等 ÷ 人口 > 観光等 ÷ 人口
となり、直線より上か下かは変わりません。どちらの図でも、上側にある2点は同じ2つの都道府県です。計算しなくても、式の性質から答えが決まります。
ク:XとYの大小が逆転した理由
正解:③ 点Yの都道府県の方が人口が少ない
図3ではXの方が旅行者数(出張等・観光等)が多いのに、人口で割った図4ではYの方が両方とも大きくなっています。同じように割って大小が逆転するのは、Yの方が割る数(人口)がずっと小さいからです。
- ⓪ 出張等の旅行者数はXの方が多いので、Yの値が大きくなる理由になりません。
- ①・② 2つの旅行者数の差や比は、両方の軸で同時に逆転する理由を説明できません。特に「観光等 ÷ 出張等」は、両方を人口で割っても変わりません。
問4 箱ひげ図で都道府県を分類する(ケ〜シ)
図の状況: 図4の散布図の各軸に沿って、「出張/人口」と「観光/人口」の分布を表す箱ひげ図を付けた図5が示されました(外れ値は ○ で表す)。図から読み取れるおおよその値は次のとおりです。
| 指標 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 外れ値 |
|---|---|---|---|---|
| 出張/人口 | 約0.27 | 約0.46 | 約0.6 | なし |
| 観光/人口 | 約0.85 | 約1.4 | 約2.2 | 約4.4 と 約5.0 |
散布図の中では、6つの都道府県に A〜F の記号が付いていました(座標はおおよその値です)。
| 記号 | 観光/人口 | 出張/人口 |
|---|---|---|
| A | 約0.8 | 約1.05 |
| B | 約1.25 | 約0.95 |
| C | 約2.8 | 約0.92 |
| D | 約4.4 | 約0.41 |
| E | 約5.0 | 約0.14 |
| F | 約0.2 | 約0.08 |
ケ:観光等の旅行者が人口の4倍以上の都道府県の数
正解:2個
「観光/人口」が4.0以上の点は、D(約4.4)とE(約5.0)の2つです。箱ひげ図の外れ値2つと同じ点です。
コ:最も多いグループ
定義: 「出張/人口」が第3四分位数より大きい都道府県を出張等が多め、「観光/人口」が第3四分位数より大きい都道府県を観光等が多めと呼びます。
正解:③ 出張等も観光等も多めではない都道府県
第3四分位数より大きいのは、それぞれの指標で全体の約4分の1、47都道府県のうち約11個です。
- 「出張等が多め」に当てはまるのは、最大でも約11個
- 「観光等が多め」に当てはまるのも、最大でも約11個
- したがって、どちらかが多めの都道府県は合わせても最大で約22個。残りの少なくとも約25個は「どちらも多めではない」
散布図を数えなくても、四分位数の定義から決まります。
サ:出張等も観光等も多めの都道府県
正解:② C
両方の第3四分位数(出張/人口 約0.6、観光/人口 約2.2)を超えているのは、C(観光/人口 約2.8、出張/人口 約0.92)だけです。A と B は出張等だけが多めです(観光/人口が2.2より小さい)。D と E は観光等だけが多めです(出張/人口が0.6より小さい)。
シ:「出張等は多めではないが観光等は多め」の中で、出張/人口 ÷ 観光/人口 が最も小さい都道府県
正解:④ E
候補は D と E です。
- D:0.41 ÷ 4.4 ≒ 0.09
- E:0.14 ÷ 5.0 ≒ 0.03
E の方が小さくなります。散布図で考えると、原点と点を結ぶ直線の傾きが小さいほど、この値は小さくなります。E は右下にあるので、傾きが最も緩やかです。
第4問のまとめ
- 尺度水準: 名義・順序・間隔・比例の違いを、具体例とセットで覚えておきましょう。
- グラフの使い分け: 量の比較は棒グラフ、割合の比較は帯グラフで読みます。割合が大きいことと、人数が多いことを混同しないようにします。
- 相関: 相関係数は「傾向」を表すだけで、「必ず」や「因果関係」は言えません。
- 指標の変換: 両方の値を同じ数で割っても、2つの値の大小関係や比は変わりません。逆に、別々の都道府県を比べるときは、割る数(人口)の違いで順位が入れ替わります。
- 四分位数: 第3四分位数より大きいのは全体の約4分の1という定義から、数えなくても答えが決まる設問がありました。
代表値と箱ひげ図の基本は「代表値と散らばり」で解説しています。