2026年 共通テスト情報Ⅰ 第4問 解説|桜の開花日データ分析(欠損値・開花差・散布図・箱ひげ図・回帰直線)
正解と配点
| 設問 | 解答記号 | 正解 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 問1 a | ア | ① | 2 |
| 問1 b | イ | ③ | 1 |
| 問1 b | ウ | ② | 2 |
| 問2 | エ・オ | ②・⑤両方正解で2点 | 2 |
| 問2 | カ | ③ | 2 |
| 問3 a | キ・ク | ①・④順序は問わない。各2点 | 4 |
| 問3 b | ケ | ② | 2 |
| 問3 b | コ | ⓪ | 2 |
| 問3 b | サ | ③ | 3 |
| 問4 | シ | ② | 3 |
| 問4 | ス | ① | 2 |
丸数字(②など)は選択肢の番号です。
第4問はデータの活用の問題です。題材は、気象庁が公開している桜の開花日のデータ。「ある日からの気温の合計が一定の値を超えると開花する」という経験則が、実際の開花日にどれくらい合うかを、表・散布図・箱ひげ図・回帰直線を使って調べていきます。
計算はほとんどなく、グラフから何が言えて、何が言えないかを判断する問題が中心でした。図の読み取りに時間がかかるので、選択肢を一つずつ図と照らし合わせる丁寧さが必要です。
問1 データの準備(ア〜ウ)
場面: Tさんは、観測点ごとの2014〜2023年の桜の開花日を表1にまとめました。表1には、稚内・旭川・網走のような北海道の観測点(開花は4月下旬〜5月上旬)から、那覇・南大東島(開花は1月〜2月上旬)までが並んでいます。例えば稚内の2023年の開花日は5月3日です。このデータはオープンデータです。
a オープンデータの説明(ア)
問われたこと: 次の2つの文の正誤の組合せ。
- A:オープンデータは、誰でも入手可能である
- B:オープンデータを加工・編集する場合には、利用申請が必須である
正解:① Aは正しい、Bは誤り
オープンデータは、国や自治体などが誰でも自由に入手し、加工・再配布できるように公開したデータです。機械で読みやすい形式で、二次利用が認められたルール(クレジットの表示など)で公開されるのが特徴で、加工のたびに利用申請をする必要はありません。
b 欠損値とグラフの選び方(イ・ウ)
場面: 表1の南大東島の2021年の欄には「0」が入っていました。調べると、南大東島はその年の開花日の記録がない観測点でした。
正解:イ ③ 欠損値 ウ ② 横軸を年、縦軸を各年の3月末までに開花した観測点の数
- イ: 本来あるはずのデータが記録されていないものを欠損値といいます。「0」のまま計算に使うと結果が狂うので、Tさんは欠損値を含む行を除外しました。ほかの選択肢の補数(2進数の引き算などで使う考え方)、乱数(でたらめな数)、代表値(平均値・中央値など)は意味が違います。
- ウ: 「4月1日より早く開花した観測点の数が、年ごとにどう変化しているか」を見たいので、横軸は年です。縦軸は、4月1日より早く=3月末までに開花した観測点の数にします。横軸を月にした⓪①は年ごとの変化が見えず、③の「4月に開花した数」は見たいものと違います。
問2 400度の法則と600度の法則(エ〜カ)
2つの仮説:
- 仮説1(400度の法則): 2月1日からの毎日の平均気温の合計が400を超えると開花する
- 仮説2(600度の法則): 2月1日からの毎日の最高気温の合計が600を超えると開花する
Tさんは、合計が初めて400・600を超えた日を400度開花推定日・600度開花推定日とし、実際の開花日との差(開花差)を求めました。推定日が実際より早ければ負、遅ければ正、一致すれば0です。
表2・表3の内容:
| 観測点 | 400度開花推定日 | 600度開花推定日 | 実際の開花日 | 400度開花差 | 600度開花差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 稚内 | 5月31日 | 5月21日 | 5月8日 | 23 | 13 |
| 旭川 | 5月26日 | 5月7日 | 4月29日 | 27 | 8 |
| 新潟 | (隠されている) | (同) | (同) | 4 | −1 |
| 名古屋 | 3月19日 | 3月16日 | 3月17日 | 2(エ) | −1(オ) |
| 甲府 | 3月20日 | 3月14日 | 3月18日 | 2 | −4 |
| 奈良 | (隠されている) | (同) | (同) | −1 | −5 |
正解:エ ② 2 オ ⑤ −1 カ ③ 新潟は600度開花推定日の方が近く、奈良は400度開花推定日の方が近い
- エ・オ: 名古屋の400度開花推定日は3月19日で、実際の3月17日より2日遅いので 2。600度開花推定日は3月16日で1日早いので −1 です。
- カ: 「実際の開花日に近い」は開花差の絶対値が小さいことです。新潟は|4|と|−1|なので600度、奈良は|−1|と|−5|なので400度の方が近くなります。表2の日付が隠されていても、表3の開花差だけで判断できます。
問3 緯度と開花差(キ〜サ)
a 散布図と相関係数から読み取れること(キ・ク)
図1の様子: 横軸に緯度(約31〜46度)、縦軸に開花差をとった散布図で、400度開花差を○、600度開花差を×で表しています。各観測点の緯度はすべて異なります。
- どちらも緯度が高いほど開花差が大きくなる右上がりの分布で、相関係数は400度開花差が0.92、600度開花差が0.74
- 緯度40度以上では、○が約16〜30、×が約0〜13の範囲にある
- ○が最も高いのは緯度44度付近の約30で、緯度が最も高い観測点(約45.5度)は○が約23、×が約13(×の中では最大)
- 緯度35度付近の点が密集した部分には拡大図があり、開花差0の線上に○や×が重なっている
選択肢:
- ⓪ 400度開花差よりも600度開花差の方が、点の集まりが直線に近い
- ① 推定日と実際の開花日が一致する観測点の数は、400度より600度の方が多い
- ② 緯度が最も高い観測点で、それぞれの開花差が最大になっている
- ③ 任意の2つの観測点を比べると、緯度が高い方が、400度・600度の開花差の少なくとも一方が必ず大きい
- ④ 緯度40以上のすべての観測点で、400度開花推定日は600度開花推定日より1週間以上遅い
正解:① と ④(順序は問わない)
- ①(正しい): 「一致する」とは開花差が0のことです。拡大図で開花差0の線上にある点を数えると、×(600度)の方が○(400度)より多くなっています。
- ④(正しい): 同じ観測点では実際の開花日が共通なので、400度開花差−600度開花差=400度推定日−600度推定日です。緯度40以上の観測点では、どれも○が×より7以上上にあるので、400度推定日の方が1週間以上遅いと言えます。
- ⓪(誤り): 相関係数の絶対値が大きいほど、点は直線の近くに集まります。0.92の400度開花差の方が直線に近いです。
- ②(誤り): 緯度が最も高い観測点は、600度開花差(約13)は最大ですが、400度開花差(約23)は緯度44度付近の約30より小さいです。「それぞれ」最大とは言えません。
- ③(誤り): 全体の傾向は右上がりでも、「任意の2点で必ず」とまでは言えません。例えば緯度約41度の観測点(○約16・×約4)と約42度の観測点(○約16・×約1)を比べると、緯度が高い方は400度開花差が同じくらいで、600度開花差は小さくなっています。相関は傾向を表すもので、すべての組についての保証ではありません。
b 氷点下観測点と箱ひげ図(ケ〜サ)
場面: 緯度が高い観測点には、2月1日以降に平均気温が氷点下(0℃以下)になる日があります。そこで、そうした日がある観測点(氷点下観測点)をG1、それ以外をG2として、400度開花差の箱ひげ図(図2)を作りました。どちらにも外れ値はありません。
図2の様子(目盛りからのおおよその読み取り):
| グループ | 最小値 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 最大値 |
|---|---|---|---|---|---|
| G1(氷点下観測点) | 約3 | 約7 | 約16 | 約23 | 約30 |
| G2(それ以外) | 約−12 | 約−5 | 約−1 | 約3 | 約6 |
ケ: 開花差の絶対値が(ケ)以上の観測点は、G1では半数以上あるが、G2では1か所もない。
正解:ケ ② 15
G1の中央値は約16なので、15以上が半数以上あります。G2は最小値が約−12、最大値が約6なので、絶対値はすべて15未満です。
- 10だと、G2の最小値(約−12)の絶対値が10以上になってしまいます。
- 5だと、G2の最大値(約6)や最小値が当てはまってしまいます。
- 20だと、G1の中央値(約16)が20未満なので、半数以上とは言えません。
コ・サ: 400度開花推定日と実際の開花日が一致している観測点(一致観測点)について、(コ)一致観測点の数がわかり、(サ)G2に存在することがわかった。選択肢は「図1だけで/図2だけで/図1もしくは図2のいずれからも/図1と図2の両方を組み合わせることで」です。
正解:コ ⓪ 図1だけで サ ③ 図1と図2の両方を組み合わせることで
- コ: 散布図(図1)には観測点が1つずつ点で描かれているので、開花差0の○を数えれば一致観測点の数が分かります。箱ひげ図(図2)は5つの値しか示さないので、個数は分かりません。
- サ: 図2を見ると、G1の最小値は約3で0より大きいので、G1に一致観測点はありません。図1で一致観測点があることが分かっているので、合わせるとG2にあると分かります。図2だけでは、G2の範囲に0が含まれていても、ちょうど0の観測点があるかどうかは分かりません。
問4 回帰直線を使った補正(シ・ス)
場面: Tさんは、ある3年間のデータで氷点下観測点を集め、2月1日以降に平均気温が氷点下だった日数(氷点下日数)と400度開花差の散布図と回帰直線(図3)を作りました。
回帰直線:(開花差の予測値)= 0.55 ×(氷点下日数)+ 5.48
図3の様子: 横軸の氷点下日数は1〜45日、縦軸の開花差は約2〜30日で、右上がりに分布しています。氷点下日数1日の観測点が縦に多く並び、開花差は2〜9日に広がっています。氷点下日数43日・開花差20日の点だけ、回帰直線から大きく下に外れていて、点Aと示されていました。
補正方法: 開花差の予測値を四捨五入した値(補正日数)だけ、400度開花推定日からさかのぼった日を400度補正日とします。400度補正日の方が実際の開花日に近くなることを「うまく補正できる」とします。
シ:図3から分かること
正解:② 氷点下日数が1日である氷点下観測点の一部を除いたすべての氷点下観測点でうまく補正できる
実際の開花差を d、補正日数を k とすると、補正後の開花差は d − k です。うまく補正できるのは |d − k| < |d| のときで、d も k も正なので、d が k の半分より大きいときです。つまり、点が回帰直線の上側にあっても、下側にあっても、予測値の半分より上にあればうまく補正できます。
| 観測点の例 | 補正日数 k | 実際の開花差 d | 補正後 d − k | うまく補正できるか |
|---|---|---|---|---|
| 氷点下日数1日・開花差2 | 0.55 + 5.48 = 6.03 → 6 | 2 | −4 | ×(|−4| > 2) |
| 氷点下日数1日・開花差3 | 6 | 3 | −3 | ×(近くならない) |
| 氷点下日数1日・開花差4 | 6 | 4 | −2 | ○ |
| 点A(43日・開花差20) | 23.65 + 5.48 = 29.13 → 29 | 20 | −9 | ○(|−9| < 20) |
予測値の半分より下にある点は、氷点下日数1日で開花差2・3の点だけです。点Aは回帰直線から大きく外れていますが、うまく補正できます。
- ⓪:氷点下日数1日の一部はうまく補正できません。
- ①:点Aはうまく補正できるので、「点Aを除いた」は誤りです。
- ③・④:回帰直線の下側の点も、上側の点も、ほとんどがうまく補正できます。
ス:観測点Xの400度補正日
条件: 別の年の観測点Xは、400度開花推定日が4月23日、氷点下日数が18日。実際の開花日は4月12日でした。
正解:① 4月8日
- 予測値:0.55 × 18 + 5.48 = 9.9 + 5.48 = 15.38 → 補正日数は 15日
- 400度補正日:4月23日の15日前 = 4月8日
実際の開花日(4月12日)との差は、補正前が11日、補正後が4日なので、うまく補正できています。
第4問のまとめ
- オープンデータと欠損値は、用語の意味を正確に押さえておけば得点できます。
- 同じ観測点の2つの開花差を引くと、推定日どうしの差になります。基準が共通な値の差に気づくと、散布図の選択肢を判断しやすくなります。
- 散布図は個々の点が分かる、箱ひげ図は分布の要約しか分からないという違いが、どの図で何が言えるかを決めます。
- 回帰直線は「平均的な傾向」です。補正がうまくいくかは、直線の上か下かではなく、補正前後の差の絶対値で判断します。
詳しくは「代表値と散らばり」と用語「相関係数」「中央値」で解説しています。