相関と回帰|散布図・相関係数の読み方と回帰直線による予測
「気温が高い日ほど、アイスクリームがよく売れる」のような、2つの量の関係を調べるのが相関、その関係を式で表して予測に使うのが回帰です。共通テストの第4問では、2025年・2026年とも散布図と相関係数が出題され、2026年は回帰直線を使った予測まで問われました。
散布図
**散布図**は、2つの量を横軸と縦軸にとり、1つのデータを1つの点で表した図です。
| 点の並び方 | 関係 | 例 |
|---|---|---|
| 右上がり | 正の相関:一方が大きいほど、もう一方も大きい傾向 | 身長と体重、気温とアイスの売上 |
| 右下がり | 負の相関:一方が大きいほど、もう一方は小さい傾向 | 気温と暖房の使用量、標高と気温 |
| 決まった傾向がない | 相関がない | 身長とテストの点数 |
点が直線の近くに集まっているほど、相関が強いといいます。
相関係数
相関の強さを −1 から 1 までの数値で表したものが**相関係数**です。
| 相関係数 | 関係(目安) |
|---|---|
| 1 に近い(0.7 以上など) | 強い正の相関 |
| 0.4 〜 0.7 程度 | 正の相関がある |
| 0 に近い | ほとんど相関がない |
| −0.4 〜 −0.7 程度 | 負の相関がある |
| −1 に近い(−0.7 以下など) | 強い負の相関 |
相関係数の注意点
- 相関係数は、直線的な関係の強さだけを表します。U字型のような曲線の関係があっても、相関係数が0に近くなることがあります。
- 相関係数の絶対値が大きいほど、点は直線の近くに集まります。−0.9 は 0.5 より強い相関です。
- 傾きの大きさとは関係ありません。傾きがゆるやかでも、点が直線上にきれいに並んでいれば相関係数は1に近くなります。
- 相関があっても、「どの2つのデータを比べても必ず大小関係が同じ」とは言えません。相関は全体の傾向です。
相関と因果は違う
2つの量に相関があっても、一方が原因で、もう一方が結果(因果関係)だとは限りません。
例: アイスクリームの売上と、水難事故の件数には正の相関がある。
アイスを食べると水難事故が起きるわけではありません。どちらも「気温が高い(夏である)」ことが原因で増えています。このように、第3の要因によって生まれる見かけの相関を疑似相関といいます。
因果関係を確かめるには、ほかの要因をそろえて比べる実験や、仕組みについての検討が必要です。
回帰直線と予測
散布図の点の並びに最もよく当てはまる直線が**回帰直線**です。y = ax + b の形で表し、x の値から y の値を予測できます。
- 傾き a:x が1増えると、y が平均的にどれだけ増えるか
- 切片 b:x が0のときの y の予測値
例: 回帰直線が(開花差の予測値)= 0.55 ×(氷点下日数)+ 5.48 のとき、氷点下日数が18日なら
0.55 × 18 + 5.48 = 9.9 + 5.48 = 15.38
残差
実際の値と、回帰直線による予測値との差を残差といいます。
残差 = 実際の値 − 予測値
点が回帰直線より上にあれば残差は正、下にあれば負です。回帰直線は、残差の2乗の合計が最も小さくなるように引かれています(最小二乗法)。
予測の注意点
- 予測値は平均的な傾向で、個々のデータは直線から上下にずれます。
- データの範囲を大きく外れた x での予測は、当てにならないことがあります。
- 相関が弱い(点が直線から大きく散らばっている)ときは、予測の精度も低くなります。
外れ値の影響
ほかから大きく離れた点(外れ値)が1つあるだけで、相関係数や回帰直線は大きく変わることがあります。散布図を描かずに相関係数だけを見ると、こうした影響に気づけません。必ず散布図と合わせて判断しましょう。
共通テストでの出題
- 2025年の本試験 第4問 問2:都道府県ごとの目的別の旅行者数について、散布図と相関係数を読み取る問題(「2025年 第4問 解説」)。
- 2026年の本試験 第4問 問3:緯度と開花差の散布図で、相関係数が 0.92 と 0.74 の2つを比べる問題。「相関係数が大きい方が直線に近い」「相関があっても、任意の2点で必ず大小関係が成り立つとは言えない」がポイントでした。
- 2026年の本試験 第4問 問4:氷点下日数と開花差の回帰直線から予測値を求め、それを使って開花推定日を補正する問題。補正がうまくいくかは、回帰直線の上か下かではなく、補正前後の差の絶対値で判断しました(「2026年 第4問 解説」)。
よくある間違い
- 「相関がある=因果関係がある」:疑似相関の可能性を考えましょう。
- 「相関係数が −0.8 は弱い」:符号は向きを、絶対値は強さを表します。−0.8 は強い負の相関です。
- 「回帰直線の上の点は予測より小さい」:上にある点は、実際の値が予測値より大きい(残差が正)です。
まとめ
- 散布図で、右上がりは正の相関、右下がりは負の相関
- 相関係数は −1〜1。絶対値が大きいほど直線的な関係が強い
- 相関があっても因果関係があるとは限らない(疑似相関)
- 回帰直線 y = ax + b で予測できる。残差 = 実際の値 − 予測値