情報技術の発展と社会|情報システム・IoT・AIが変える暮らしと課題
コンビニのレジ、交通系ICカード、ネットの「おすすめ」表示。私たちの生活は、たくさんの情報システムに支えられています。この記事では、情報システムの仕組みと、新しい情報技術が社会にもたらす変化と課題を整理します。共通テストでは、情報システムの図を読み取って、データの流れや改良の意味を考える問題がよく出ます。
情報システムとは
情報システムは、コンピュータやネットワークを使って、データを集め、処理し、必要な人に届ける仕組みです。
| 情報システム | 集めるデータ | 活用の例 |
|---|---|---|
| POSシステム(販売時点情報管理) | いつ・どの店で・何が・いくつ売れたか | 売れ筋の分析、自動発注、在庫管理 |
| 交通系ICカード | 乗車駅・降車駅・時刻・残高 | 運賃の自動精算、駅の混雑分析 |
| ネット通販 | 閲覧・購入の履歴 | おすすめ商品の表示(レコメンド) |
| 銀行のATM・オンラインバンキング | 入出金の記録、口座残高 | 24時間の入出金・振込 |
| 電子カルテ | 診察の記録、検査結果、処方 | 病院内での情報共有、待ち時間の短縮 |
POSシステムの流れ
- レジで商品のバーコードを読み取る
- 販売データ(商品・数量・時刻・店舗)が本部のサーバに送られ、データベースに記録される
- 本部が全店のデータを集計・分析する
- 売れ筋を見て、商品の発注や品ぞろえ、陳列を決める
一つひとつのレジでの販売記録が集まることで、店の運営に役立つ「情報」になります。2025年の本試験 第2問A では、スーパーのレシートに印字される項目と、ポイントカードの会員情報を本部の情報システムでどう分析に使うかが題材になりました。
情報システムを図で読み取る
共通テストでは、情報システムを矢印でつないだ図で表し、データの流れや改良の意味を問う問題がよく出ます。読み取るときは、次の3点を表に書き出すと整理できます。
- 誰から誰へ(矢印の向き)
- 何を送るか(操作、要求、データ)
- どの順番で(番号)
2026年の本試験 第2問A では、住民証明を紙で発行するシステムを、
- 個人のPCで電子データを受け取れるシステム
- 請求者が書き換えられないよう、アクセスコードを使うシステム
- コードが漏れても住民情報が流出しないよう、「正しいかどうか」だけを答えるシステム
と順に改良していく流れが問われました。改良のたびにどんな問題が解決し、何が変わったかを、図の矢印の違いから読み取ります。
情報技術の発展
| 技術 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| IoT(モノのインターネット) | 家電・車・センサなど、あらゆるモノがインターネットにつながる | 外出先からエアコンを操作、工場の機械の故障を予測 |
| ビッグデータ | 大量・多種類・高頻度で生まれるデータ | SNSの投稿、スマートフォンの位置情報、IoT機器のセンサ値 |
| AI(人工知能) | 大量のデータから規則性を学習し、判断や予測を行う | 画像認識、翻訳、文章の生成、需要予測 |
| クラウドコンピューティング | 自分の機器ではなく、インターネット上のサーバの機能を利用する | オンラインストレージ、Webメール |
| キャッシュレス決済 | 現金を使わずに支払う | ICカード、QRコード決済、クレジットカード |
これらはお互いにつながっています。IoT機器が集めたビッグデータをクラウドに蓄積し、AIで分析して、現実の世界にフィードバックする、という流れです。
Society 5.0
日本が目指す未来の社会の姿として、Society 5.0 が掲げられています。狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く社会で、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、経済の発展と社会的な課題の解決を両立することを目指しています。
情報技術がもたらす課題
情報技術の発展には、便利さの一方で「影」の部分もあります。
| 課題 | 内容 | 対策の例 |
|---|---|---|
| デジタルデバイド | 情報技術を使える人と使えない人の格差 | 窓口などの代わりの手段を残す、使い方の講習 |
| 健康への影響 | 長時間の画面作業による目の疲れ・肩こり(VDT障害)、ネット依存、睡眠不足 | 利用時間を決める、適度な休憩 |
| 情報の偏り | フィルターバブル、エコーチェンバー | 複数の情報源にあたる(メディアリテラシー) |
| 個人情報の集中 | 大量の個人データが一つの企業に集まり、漏えいや悪用のリスクが高まる | 個人情報保護法、匿名加工(「個人情報とプライバシー」) |
| 雇用の変化 | AIやロボットによって一部の仕事が置き換わる | 新しい技能を学び直す(リスキリング) |
| AIの判断 | 学習データの偏りによる不公平な判断、判断の理由が分かりにくい | 人が最終判断をする、学習データを点検する |
オンライン化しただけでは、デジタルデバイドは解消されません。2026年の本試験 第2問A でも、「個人のPCから請求できるようになったので、デジタルデバイドが解消された」は誤りの選択肢でした。
共通テストでの出題
- 情報システムの読み取り:2026年の本試験 第2問A(住民証明の情報システムの図)、2025年の本試験 第2問A(スーパーのレシートと本部の情報システム)。本試験では2年続けて、第2問Aで情報システムが題材になっています。
- 新しい技術の用語:IoT・ビッグデータ・AIの説明として正しいものを選ぶ問題。
- 便利さと課題の両面:「〜によって必ず解決する」「誰でも〜できる」といった言い切りの選択肢は、課題の面を見落としていることが多いので注意しましょう。
まとめ
- 情報システムは、データを集めて・処理して・届ける仕組み。POSは販売データを集めて分析に使う
- 図は「誰から誰へ・何を・どの順番で」を表にして読み取る
- IoT → ビッグデータ → AI の流れで、データを現実の世界に生かす(Society 5.0)
- デジタルデバイドや健康への影響など、課題の面もセットで押さえる